「ああ、まだ動かないのかしらねえ……。」
エレベーターの中では、相変わらず中年婦人が文句を言っていた。
エレベーター故障から45分。
紀子美の尿意はとうに限界を通り越し、今にも尿道を押し広げて勝手に尿が噴き出してしまいそうな状態であった。
紀子美のふくらはぎはワナワナと震えつつ摺り合わされ、白いハイヒールは右、左とステップを踏み続けていた……。
鼻筋の通った、楚々とした顔のお嬢様。
彼女は純白の薄いオーガンジーの手袋をはめた左手でスカートの一部を握りしめ、右手では窓際の周囲にグルリと渡された銀色の手すりへとつかまっていた。今まで手に持っていたバッグは、今や床に置かれてしまってあった……。
そわそわと落ち着きのない紀子美。
彼女は手すりから右手を離すと、その手でスカートを握りしめた。
両手でスカートを握りしめる紀子美。
摺り合わされる両脚の先で、ハイヒールの中のつま先がギュッと力んだ。
紀子美の美しい顔が緊張に引きつる。
--こんなところで……、
--お粗相なんてできない……!
紀子美の脳裏には、今一瞬、自分がこの人前でオシッコを洩らしてしまう恥ずかしい光景が想像された。
23歳にもなってお粗相してしまう自分……。
それは皆、驚くことだろう……。
まるで悪夢のような恥辱の光景……。
物心ついてからオモラシなどしたことのない紀子美には、自分が失禁してしまう光景など、考えるだけでも発狂してしまいそうなことであった……。
紀子美は、また右手をスカートから離すと、元通り銀色の手すりへとつかまった。そして彼女は、その右手に力を込めて行きながら、ハイヒールのつま先にもう一度力をこめて行った。
紀子美の足がガクガクと震える。
もう普通には立っていられなかった……。
紀子美は徐々に膝を曲げて行き、上半身を少し前に倒しながらも、のけ反らせ、いわゆる「屁っぴり腰」のスタイルをとった。
両脚は全く落ち着くことなく、摺り合わされたままである。
白いハイヒールは左右交互に、軽いステップを踏んでいた。
紀子美の前に立っていた男性たちは、徐々に彼女の姿へと目を留め始めた。
この時の紀子美は明らかに異常で、彼らが目を留めるのも当然だった。
紀子美にも彼らが自分に注目し始めたことは分かった。しかし、尿意は強烈で、とても彼女には平静を装う余裕などなかったのである……。
--ああ、見ないで下さい……!
--お願い、見ないで……!
哀れな紀子美は、男性たちの見る前でなす術もなく狼狽しながら、心の中でそう哀願するより他なかった。
おしとやかな御令嬢の紀子美にとって、男性たちの前で屁っぴり腰の麦踏みダンスを披露する今のこの姿は、耐え難く恥ずかしいものに思われた。
--おトイレに行きたいんだって気付かれてしまう……。
--こんなことをしていたら、気付かれてしまう……。
それは確かに、小便を我慢する人間がとる典型的なポーズと言えた。
紀子美の目は潤み、その頬は赤く染まった。しかし、紀子美の脚は激しく摺り合わされ、ハイヒールははしたない麦踏みを続けたままだった……。
紀子美の尿道は今にも勝手に緩み出しそうな雰囲気で、こうしている間にも、いつ失禁が始まるか分からないような気配だった。
周期的に尿意は爆発的に高まり、紀子美の尿道を内側から刺激した。
--もう洩れる……!
--洩れてしまう……!
「ああっ、んっ……。」
紀子美は思わず声をあげてしまった。
婦人連れを含めた乗客たち全員が紀子美の方に目をやった。
紀子美は彼らの注目を浴びる中、右手を手すりからスカートへと移し、そしてまた手すりへと戻した。
両脚はせわしなく麦踏みを続けている。
紀子美の尿道を、さらに強烈な尿意が襲った……。
「んあは、んんっ……!」
紀子美は思わず屁っぴり腰の尻を後ろにグッと突き出したかと思うと、スカートを握る左手に思い切り力をこめた。そして手すりから再び右手をスカートへと持って行き、そちらでもスカートを力強く握った。

抜ける官能小説
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