エレベーターの様子は、全く今までと変わらないように見えていた。が、レポーターの報告が終わって数秒したその時のこと、エレベーターは突然ガクンと下に動き出し、そのままスムースに降下を始めたのだった。
「あっ!動き出しました……!たった今、エレベーターがようやく下に下がり出しました……!」
新宿ヤルタ前にはレポーターの実況が響き渡り、人々のどよめきが広がって行った……。
「おお、動いた!」
「動いたよ!おい!」
エレベーターの中でも、乗客たちが声をあげていた。
婦人連れは紀子美に手を添えたまま、「良かったわね」「おトイレ行けるわよ?」と声をかけていた。
窓の外には、ビル街の景色が下から上へと流れて行くのが見えた。
一人のオタク風青年は窓の下を見下ろし、徐々に道路が接近して来る様を見ていた。彼はそれから歩道橋の上にたくさんのテレビカメラが集結して見上げているのを発見し、驚きの声をあげた。
「うわあ、あんなにテレビカメラが……!ほら、歩道橋の上……!」
もう一人の「オタク」と、それに中年男性とは、彼の言葉を聞いて窓の下を見た。
紀子美も彼の言葉を気にして、そっと窓の下へ目を向けて見た。
すると、紀子美のいる側の窓からちょうど斜め下の方向にある歩道橋の上に、夥しい数のテレビカメラが集結し、見上げているのが見えた。
しかも、それらは、ぐんぐんと接近して来ていた……!
「いやっ……。」
紀子美は思わず身体の向きを変え、テレビカメラに背を向けるようにした……。
ヤルタの大スクリーンには、下りて来るエレベーターの映像が映し出されていた。今まで見えていなかった中の様子も少しづつ明らかになって行き、やがてドレスを着てしゃがみ込む紀子美の姿が現れた……。
「あっ……!今、エレベーターの床に膝を突いてしゃがむ、一人の女性が見えました……!白いドレスを着て、苦しげにしゃがんでいます……!」
ごく淡い薄桃色のミディドレスは、レポーターの目には白く光って見えたのだった。
「あの女性が、尿意を催しているのでありましょうか……!」
紀子美はカメラに背を向けて床に膝を突き、苦しげにうつむいて腰をモジモジと上下動させていた。髪の後ろを飾る真っ白なかすみ草と、ドレスの腰の大きなリボンとが印象的だった……。
ヤルタ前の群衆は、皆どよめいて映像を見上げていた。スクリーンに映るエレベーターは、やがてカメラと平行になる辺りまで下りようとしていた。
が、その時である……。
エレベーターは歩道橋の上で構えるテレビカメラと平行の位置まで差し掛かった瞬間、ガクンと突然、停止してしまったのであった。
エレベーターはそのまま、全く動こうとはしない。
人々はざわめき、レポーターは実況を行った。
「おおっと!これはどうしたのでしょうか……!」
紀子美の不運は、とどまるところを知らなかった……。
「あれえ……?ここで降ろされるのかな……?」
「下まで行くんじゃないの……?」
エレベーターの乗客たちは口々に不審の声を漏らしていた。
地上までもう少しというところまで来て、エレベーターは停止してしまった。
歩道橋は今や、彼らの目の前にあって、十数台のテレビカメラがこちらを平行に見据えていた。
「おいおい、これじゃ晒しものだよ……。」
オタク風の青年はカメラを見て言った。
紀子美はカメラに背を向けたまま股間を押さえてしゃがんでいたが、恐る恐る後ろを振り向いて見た。
すると……、そこには彼女のほぼ真後ろから至近距離で彼女を捉える無数のテレビカメラが並んでいるのだった。
「いやあ……っ……。」
それは全く「目の前」と言って良かった。
紀子美はまたカメラから顔を背け、耳までを真っ赤に染めて羞恥した。
--お手洗いを我慢してしゃがみ込んでいる姿をテレビに映されるなんて……。
紀子美は恥ずかしさのあまり、目を閉じて大量の涙を床に落とした……。
「ああ、これは間違いありません!かなり辛そうな様子です……!」
テレビのレポーターは、紀子美の腰がモジモジと上下動するのを見て、そう叫んだ。エレベーターの中で尿意を催している哀れむべき女性は、あのドレスを着た娘なのに違いなかった。
紀子美の尿意はどこまでも冷酷で、彼女に恥ずかしい腰の上下動を、引き続きテレビカメラの前でまで強制していたのであった……。
「薄桃色のドレスを着た女性……、苦しげな様子で尿意を堪えています……!」
紀子美の尿意は、ハッキリとテレビを通して全国に伝えられてしまっていた。
画面には、明らかに尿意を堪えて腰をモジモジと動かす、ドレス姿の哀れなお嬢様の後ろ姿が映し出されていた。
映像は続いて下の歩道から写したものに切り替わり、紀子美の姿が正面から捉えられた。
背後の歩道橋に背を向けた格好で床に膝を突き、左手で股間を握りしめ苦悶する紀子美の姿。
その映像は幅広の道一本を隔てた向かい側の歩道から、望遠レンズを使って写されたもののようで、紀子美の姿はそれほど見上げた感じにもならず、クッキリと鮮明に捉えられていた。
「ああ、ドレス姿の女性、下腹部を握りしめ、相当に苦しそうです……!」
歩道橋の上にいるレポーターは、今、モニターの画面を見ながら実況を行っていた。
画面の紀子美は、左手で股間を握りしめたまま右手を床に突き、前のめりにうつむいて腰をモジモジと上下動させていた。
太もももせわしなく摺り合わされている。
左右では婦人連れが彼女の肩に手を添えてやっていた……。
落ち着きをすっかり失ってしまっている哀れな紀子美。
彼女は続いて右手を額に持って行って当てると、うつむいたまま上半身を起こしつつ、腰を上げて行った。
彼女は額に手を当ててうつむいたまま、床に膝を突き、腰を上げた格好で、モジモジと太ももを摺り合わせた。
左手は股間を握りしめたままだ。
彼女の腰は左右にクネクネと動き、広がったスカートは柔らかに揺れて艶やかな光沢を放った……。
紀子美はそれから、何と額の右手を股間へと持って行き、左手の上へと重ねてしまった。
彼女はついに、両手で股間を握りしめてしまったのであった。
恥ずかしい姿……。
テレビカメラの目の前である……。
そして紀子美は苦しげな顔をのけ反らせ、両方の手で股間を強くギュッと押さえた……。
「ああ、何ということでしょうか……!ドレス姿の女性……、これは相当に苦しそうな様子です……!」
画面には股間を握りしめる紀子美の両手が大写しにされて行った。
白い半透明の手袋をした両手……。
スカートの生地には夥しい皺が寄っていた……。
そしてテレビカメラは、少しずつそこから彼女の上半身へと映像を移して行った……。
光沢のあるドレスを形良く膨らませる、適度に豊満な紀子美の胸……。3重に巻かれた真珠のネックレス……。そして、鼻筋の通った、紀子美の清楚な顔が、全国のテレビ画面にアップで映し出されて行った。
美しく結い上げた髪の後ろをかすみ草で飾り立てた、上品で楚々としたお嬢様の顔……。
秋葉原の電気店などでは、店の前に並べられた数十台のブラウン管全てに、紀子美のその美しい顔が映し出されていた。
「まあ綺麗なお嬢さんだこと……。」
「キレイ……。」
「カワイイ……。」
「綺麗なコだなあ……。」
「鼻の穴まで美人だよ……。」
「ホントだな、アハハ……。」
画面の前には大勢の人々が立ち止まって見つめ、紀子美の顔の美しさに皆、驚嘆していた。
エレベーターの中で尿意を堪えるお嬢様・紀子美は、今や全国の人前で、晒しもの同然の姿となってしまっていた……。

抜ける官能小説
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